10月13日は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「貧血」のセミナーに参加してまいりました。
今回は貧血を呈するわんちゃん・ねこちゃんの症例検討で、各々のプロフィール・血液検査・血液・骨髄塗抹などを多数みることができ勉強になりました。
【貧血】
血液検査で総赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット(PCV)のいずれか、あるいは全ての低下がみられた場合を「貧血」といいます。
総赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット(PCV)は血液検査(血球計算(CBC))でわかります。
<血液検査の手順>
①採血します。
②全自動血球計数器(血球計算(CBC)の測定ができます)に血液をセットします。
③測定中
④数十秒で血球計算(WBC, RBC, Hb, Ht, MCV, MCHC, PLT)の結果がでます。
⑤血液1滴をスライドガラスにうすくのばし、乾燥・固定・染色を行います。(血液塗抹)
⑥次に血液生化学検査を行います。この機械では肝臓・腎臓パネル・血糖値など様々な項目を測定することができます。
⑦顕微鏡で赤血球・白血球・血小板の形態・数などを観察します。
<貧血の分類>
貧血の原因は様々です。大きく分類すると再生性と非再生性に分類されます。
①再生性貧血
骨髄以外の原因による破壊・喪失
a) 急性出血
体内又は体外出血
b) 溶血
赤血球膜の異常(ハインツ小体・肝疾患・脂質異常・低リンなど)
免疫介在性・感染性(バベシア・ヘモプラズマ・免疫介在性溶血性貧血など)
②非再生性貧血
骨髄での産生低下が原因
a) 比較的よくみられるもの
慢性炎症による貧血・腎性貧血・甲状腺機能低下症・白血病ウィルス感染・鉄欠乏性貧血・非再生性免疫介在性貧血など
b) 特殊な骨髄疾患によるもの:骨髄検査をしないと確定診断がつかないケースが多いです。
赤芽球癆・再生不良性貧血・骨髄癆・骨髄異形成症候群など
「貧血」のわんちゃん・ねこちゃんにおいては、「貧血」を主訴にご来院される方は本当にまれです。ほとんどの方は元気・食欲の低下などを主訴に来院され、診察時に貧血が発見されることが多いです。
身体検査のみでは貧血の程度や内臓の状態をはっきりと把握することができませんので、ご家族の方と相談の上、血液検査を行います。少量の血液を採血し、約20~30分後に結果がでます。検査結果がでた後、今後の検査や治療方針についてご相談させて頂きます。
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